えー、まずは開き直りのご挨拶であります。
なぜ今さら、アルバイト遍歴などを書き記そうとしているのか。実のところ、このテーマについては家族にも同僚にも友人にも、ほとんど話しておりません。なぜなら、そのラインナップがあまりに“普通じゃない”からであります。
登場するのは、土木作業員、テーマパークの裏方、ホストクラブ情報ポータルのWebマスター、ASPのクライアント候補リスト作成、信販会社の債権管理、ビラ配り、そして治験…。コンビニも居酒屋も出てこない。これを家庭で正直に語れば、娘には軽蔑され、妻には呆れられ、家庭崩壊の危機すら招きかねません。ゆえに本日は、ブログという安全地帯でひっそりと暴露する次第であります。
まず、昔の私についての但し書き
本稿の舞台は数十年前。当時の私は、いまより視力が残っており(ロービジョンとはいえ自転車でウロウロできる程度には見えていた)、体型はスリム、髪はふさふさ。つまり“若さ”という魔法に包まれていた時代であります。最近の私しかご存じない読者の皆さまには、まずその前提だけ共有しておきたいのであります。
原点:中学生と網棚の怪広告
電車で塾に通っていた頃、網棚に無造作に置かれたスポーツ新聞や週刊誌を宝物のように持ち帰ってはむさぼり読みました。グラビアにはもちろん目を奪われましたが、同じ熱量で釘付けになったのが紙面すみっこの怪広告たちでした。
当時は携帯電話どころかポケベルも普及前。誌面を飾っていたのは、ダイヤルQ2の伝言&ツーショットダイヤル、スワップ同好会の怪しげな募集、有閑マダムとのお付き合い、ハイリターンを謳う先物取引や競馬の情報商材といった胡散臭さ満点のビジネス。さらに宇宙パワーのすごい石、隣の部屋がのぞけるというZメガネ、包茎矯正パンツ、大人のおもちゃ通販といった、眩しすぎる面々でありました。
思えばこの“怪しさ”に心ときめかせていた時点で、後年「普通じゃないバイト遍歴」へ突き進むことは必然であったのであります。
初バイト:大学生になって最初の夏
いよいよ自分がアルバイトに足を踏み入れたのは、大学生になって最初の夏休み。友人たちがコンビニや居酒屋といった王道へ散っていく中、私が選んだのは、よりによって炎天下の土木作業員。体力も経験もないのに最もゴツい現場へ突撃し、そこで学んだのは社会の厳しさと腰痛、そして「日焼け止めは塗らないと死ぬ」という単純明快な真理でした。
その後のラインナップ(概論)
次にテーマパークのフィールドスタッフとして夢を演出しながら、自分は筋肉痛で撃沈し、裏方の現実を知ることになりました。大学では研究協力に参加し、白衣の先生に囲まれながらデータを提供。その一方で、ホストクラブ情報ポータルのWebマスターという、親に説明不能な業務にも手を出しました。
社会人目前には、ASPの新規クライアントターゲッティングでネットの海を泳ぎながら候補企業を発掘し、ひたすらリスト化する毎日を送りました。地味ではありますが、画面越しに社会の広さを知り、「パソコン作業も立派に労働である」と悟ったのであります。その後は信販会社の債権管理でお金の怖さを知り、合間にはビラ配りで街角に立ち、治験では「これは人体実験では…?」と内心震えながらも謝礼の誘惑に抗えず参加しました。
こうして私は、肉体労働から頭脳労働、ついでに人体実験の片鱗まで、社会の縮図をアルバイトだけで先取りしてしまったのであります。求人誌では王道の募集を飛ばし、紙面の隅っこの怪しい案件ばかり凝視──そんな若気の至りの結晶が、この遍歴であります。
まとめ:次回から個別に深掘りします
本日は全体像のご報告にとどめました。次回以降は、各バイトを一つずつ取り上げ、失敗談あり珍事件あり、そして若さゆえの黒歴史ありで振り返ってまいります。私からすれば奇人変人の今は亡き友人から「お前は常識のラインを知っている変態だ」「歌舞伎町の雑居ビルでもなければ出会わないタイプ」と評された私の時給青春、どうぞご期待ください。
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