塩対応に打ちのめされた一杯 ~塩ラーメンよりもしょっぱかった店主の対応~

小学生の娘がいると、外食のジャンルはどうしても彼女に合わせることになります。「焼肉は脂っこい」「チーズは苦手」──親の希望など、一蹴される毎日であります。しかしこの日ばかりは違いました。娘は渡英中。私と妻はつかの間の自由を得たのです。「今こそラーメンだ!」という妻の掛け声に、私は盲目の庶民代表として出動したのであります。

入店

到着は18時台。ゴールデンタイムにもかかわらず、客はわずか二名。しかも店主はワンオペ。私は直感しました。「この空席率、まるで私の人気投票のようだ」と。はい、胸騒ぎしかありません。

注文

私は塩の特製ラーメンを注文。意気揚々と「大盛で」とお願いすると──

店主「うちは替え玉方式なんで」

……冷たい、あまりに冷たい返答。説明はメニューにも店内掲示にもなし。視覚障害者はもちろん、健常者にも不親切。ここで私の心のスープはすでに冷めておりました。

追い討ち

妻「つけ麺は太麺の熱盛でお願いします」
店主「今の季節はやってないんですよ」

──メニューにしっかり書いてあるのに。説明もなし。態度は塩どころか岩塩。ここで妻の表情は急降下。空模様は分からずとも、不機嫌の雷雲だけは鮮明に感じました。

実食

味は……決して悪くない。むしろ中の上。だが麺とスープの相性がまるで私とファッション誌のように不一致。すすりにくい麺は箸で口へ直送。結果、シャツにスープの勲章を作る始末。

セルフ強要

「ワンオペだから食器片付け協力を」と店内掲示あり。しかし安いわけではない。ワンオペの恩恵はいずこへ。特製ラーメン1,600円。レンゲもおしぼりもカウンター下の引き出しに隠されている。もちろん説明も掲示もなし。極めつけは「椅子を奥に入れてください」。

妻が律儀に従った結果、薬指を強打し血豆が完成。協力したら負傷。

さらなる驚き

私たちが食べている最中、突如ズルズルと響く音。なんと店主、自らカウンター内にしゃがみ込んでラーメンをすすっているではありませんか。

10分程度待てば我々は退店するのに。この時の私は「見えぬ目で、見てはならぬものを見た男」と化しておりました。

総括

掲示:足りない
説明:冷たい
価格:強気
協力:流血
店主:食べる
客:すすれない

結論

食後、妻と私は無言で合意しました。「二度と来ない」と。帰宅後に口コミを覗けば案の定、接客の悪評オンパレード。私も負けじと書き込みました。投稿直後、胸のつかえは消え去り、スープよりも爽快だったのは言うまでもありません。

エピローグ

やはり、外食は家族と笑って食べるもの。今回の教訓はただ一つ──ラーメンは味ではなく態度で決まる。私はその身をもって「供物」となったのであります。

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